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スタッフインタビュー
造形への情熱とチームワークで、高品質なフィギュアを生み出すグッドスマイルカンパニー制作部。髪の毛一本から服のしわの入り方まで綿密につくり込むだけでなく、キャラクター性を的確につかんで形にする熱心な姿勢が、ファンだけでなく原作者や版元からも厚い支持を集めています。
その舞台裏を語ってくださるのが、特許事務所の意匠業務から転身した副部長・市橋卓也さんと、美大から新卒入社した原型師・長野翔さん。細部にまで目を光らせる徹底したこだわり、チームで成果を出す裏側、そしてトライアウト採用を経て入社する未来の仲間に対するメッセージをうかがいました。
前職は特許事務所で、意匠に関する特許申請用の図面を描いていました。フィギュアは完全に趣味でしたが、プロとして通用する技術を身につけたいと思っていたところ、グッスマでトライアウト採用が行われていることを知って応募したんです。2015年の入社後は原型師として独り立ちしつつ、弊社に協力してくださる社外の原型師に対して品質監修するディレクターを経て、現在は副部長としてマネジメントも担当しています。
美大では映像を専攻し、趣味でコマ撮りアニメ用のフィギュアを制作していました。アマチュアとしてイベントに出品したら喜んで買い求めてくださるお客さんがいらしたので、だんだん自信をつけて仕事にしたいと思うように。そこで新卒未経験でも挑戦できるグッスマのトライアウト採用に魅力を感じ、2019年に入社しました。現在は「POP UP PARADE」ブランドの原型を多く手がけています。
最近だと『セイバーマリオネットJ』のライムでしょうか。30年近く前に放送されていたアニメのヒロインを、キャラクター原作者のことぶきつかさ先生に改めて描き下ろしてもらったんですね。そのイラストをもとに原型をつくったんですが、現代調にアップデートしつつ、当時の視聴者に「あの頃」を懐かしく思い出してもらえるような絶妙なバランスを追求しました。
ことぶき先生が、SNS上で喜びの声を挙げてくださったのも嬉しかったですね。ライムのCVを務めた林原めぐみさんの名前を挙げ、「林原ボイスが聞こえてきそう!」と反応してくれたファンにも感謝です。このようにファン・原作者やIPの版元さん・弊社の「三方よし」が実現できた仕事は、ディレクターとしても大きな達成感があります。
これはチームワークがないと味わえない達成感ですよね。原型師って一人で孤独に作業しているイメージがあるかもしれませんが、実際は打ち合わせにも数多く参加します。企画部のフィギュアに懸ける思いを聞き、量産に際して製造部に意見をあおぐ。アマチュア時代には考えもしなかった後工程への配慮も、フィギュアを仕事にしてから意識的に設計に反映するようになりました。
キャラクター性を尊重すること、でしょうか。象徴的なシーンやポーズを切り取れるキャラクターなら造形しやすいですが、日常的な場面が続くような作品では創意工夫が必要です。そういう意味で『ぼっち・ざ・ろっく』の主人公・後藤ひとりをフィギュアにするのは難しかった。
筋金入りの陰キャでコミュ障ですからね(笑)。完成したフィギュアは、不安げな表情を浮かべながら愛用のギターケースを背負って朧げにたたずむ姿が印象的でした。キャラクター性を大事にしながら、どうやって形にしていかれたのですか?
「ひと目で陰キャに見えるって、どういう姿かたち?」って分析から始めました(笑)。そこで猫背に行き着いて、実際にギターケースを担いだ姿を3Dスキャンして解析したんですよ。ケースストラップの長さによって肩にかかる重みが異なるので、彼女がいつも着ているピンク色のジャージにどう皺が入るのか、とか。実物のギターが入ったケースを、他の制作部スタッフに何度も背負い直してもらいました(苦笑)
布の動きを出すのって難しいですよね! 僕は造形に使うことが多い粘土やパテだけでなく、実物の布や紙、さらには糸を用いて検証しています。それもこれもティッシュに瞬間接着剤を染み込ませ、固めたもので造形しようと思って失敗したからこそ、生まれたアイディアではあるんですが(苦笑)
当時、長野くんからそれを見せられ、「これ何でつくったの?」って思わずデザインナイフで削ったことを鮮明に覚えています(笑)。最近は3Dデータでの設計が主流ですが、うまく出力できない時は最終的に手作業で修正することも。そんな時、いろんな素材を知っていることは、自然な造形美を再現する上で強みになるんじゃないかな。
キャラクター愛だけでなく、「形そのもの」への愛がある人は成長のスピードも早いですね。好ましい素敵な形を見つけた途端に理由を探って、再現するための労を惜しまないような。
理想的な形を「言語化する」って大切ですよね。自分はずっと感覚派でしたが、最近は理論で説明できるよう心がけています。感覚と理論の両方を使える方は、きっと上達します!
未経験者を育成するカリキュラムが整っていること! チューターと呼ばれる教育係から1:1で基礎作業を教わり、小物パーツ、頭部、全身と段階的にステップアップしていきます。パッケージに「原型制作:ながのしょう」と自分の活動名が初めてクレジットされた時の喜びは、いまも忘れられません。
早い人で「クレジット」に約1年、他部署と連携しながら一体の原型を成立させる「独り立ち」まで約3年、といったところでしょうか。一人前になるまでの育成カリキュラムが充実しているだけでなく、業界経験がなくても実力を試せる機会がある。これこそ、グッスマで働く最大の魅力だと思います。
迷っているなら、ぜひ応募を! SNSで作品を発表しているような人なら、気軽にその一歩を踏み出せるはずです。
造形を愛し、細部へのこだわりを楽しめる人にとって、グッスマはこれ以上ない環境です。その扉を開く絶好の機会への応募を、ぜひお待ちしています。
取材:foriio