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スタッフインタビュー
成熟が進むフィギュア市場の中で、他社とパイを奪い合うのではなく「市場の活性化」を理想に掲げるグッドスマイルカンパニー。クリエイターによる活躍の場を増やし、これまでフィギュアに触れてこなかった層の購買欲をくすぐることで、カルチャー全体を豊かに盛り上げられたら──。
企画部統括の秋山拓郎さんとフィギュア課・課長の高橋千尋さんは、日常に溶け込むデフォルメフィギュア「HELLO! GOOD SMILE」や、クリエイターの作家性を前面に打ち出す「COVERS」を通じて、フィギュアの新たな入口と表現の可能性を切り拓いてきました。市場を俯瞰する視点に、クリエイターと信頼関係を築くコミュニケーション術。その両輪で挑戦を続ける企画部の仕事に迫ります。

僕らは限られたフィギュア市場のパイを奪い合うことを目的にしていません。市場そのものを広げ、クリエイターが活躍できる場を増やし、ファンがお気に入りのフィギュアに出会える選択肢を増やす。そのために「グッドスマイルカンパニーだからできることは何か」を常に考えています。
中でも、日本や一部海外地域のスケールフィギュア市場は成熟しています。品質や造形で優位に立っても、それだけでは差別化にならない。だからこそ表現の幅や価格帯を広げ、市場に新しい入口をつくる。そのひとつが、デフォルメフィギュアの「HELLO! GOOD SMILE」(以下:HELLO!)でした。


20〜30代の女性を購買層のメインターゲットに据え、ユーザーの日常に溶け込む親しみやすさとコレクション性の両立を意識しました。手に取りやすい2000円以内、という価格帯もポイント。これらの条件を満たすために、要点を押さえつつフィギュアの情報量を削ぎ落としていく。言ってみれば、HELLO!は「引き算」のブランドなんです。

情報量を削るうえで面白いと感じたのは、HELLO!のアートディレクションを務めてくださっているコヤマシゲトさんの「色」のチョイス。HELLO!の瞳は基本2トーンで構成するんですが、「その色を持ってくるんだ!」という意外性に驚く瞬間がありました。

キャラクターを象徴するような色をそのまま使うのではなく、あえて別の色を置くことで印象が一気に洗練されるんですよね。いつも「さすがだな」と感じますし、自分では思いつかなかった視点に毎回刺激を受けます。


商品をシンプルにすることは不安でもあります。情報量や要素を足せば、「やれることはやった」と安心材料になるので。でも、コヤマさんのディレクションを近くで拝見していると「ここまで削ってもフィギュアとして成立するんだ」といつも腹落ちする。その経験の積み重ねが、HELLO!の強さになっている気がします。

リスペクトを前提に、議論の質を上げる準備をします。修正点は必ずビフォーアフターで整理する。「どう思いますか」と丸投げするのではなく、「A案・B案・C案ならどれがいいですか」とコヤマさんが判断しやすい形にする。月に一度のディレクション会なので、限られた時間で最大のアウトプットを出せるよう環境を整えています。

高橋さんはそういった小さな積み重ねで、信頼関係を築いてきたんじゃないかな。それにコヤマさんと一緒にブランドを育てている感覚があるからこそ、遠慮せず率直に話せるようになっていったよね。「COVERS」でコラボレーションしてくださっているクリエイターさんとも、そういう姿勢で接しているのが上司としても嬉しいところ。


これもやっぱり、成熟したスケールフィギュア市場の中でグッスマにしかできない表現を追求した結果なんですよね。グッスマには「クリエイターの表現や作家性に光が当たる場を広げていきたい」って考えがありまして。そういう背景の中で、普段から親しまれている公式イラストではなく、別のクリエイターさんがキャラクターを描き起こすことで、これまでとは異なるキャラクターの新しい側面や魅力が出てくるのではないか。そんな「再構築」を狙って、COVERSブランドは生まれました。


クリエイターさんとは今後もずっと続く関係性でいたいので、「こんなコンセプトのイラストを、こんなポーズで描いてください」と一方的に押しつけるのではなく、「どんな感じがいいですかね」と皆さんの作家性を尊重するコミュニケーションを大切にしています。
時には「ぶっちゃけ、どんなキャラクターを描いている時に気持ちが上がりますか?」と聞いてみることも。それをチームに持ち帰り、「あのキャラを描いてみたいなら、このキャラもやってみたいんじゃないか」みたいな議論になる。それが企画の種になることもあります。

それそれ!チームの企画会議でも、とんでもない大御所イラストレーターの名前が普通に挙がります。実現可能かどうか、は二の次。「あの方がこのキャラクターを描いたら絶対に素敵なフィギュアになる!」とポジティブに考えるんですよね。阻害要因を考え始めたら、企画は縮む。まず自分たちがワクワクするか、ファンの皆さんが喜ぶか。その積み重ねこそ、フィギュア市場を元気にしていくと信じています。

チームのメンバーにも「自分ならどんなコラボレーションが見たいか」を大切に、企画を提案するよう働きかけています。弊社が開催するフィギュアの祭典・グッドスマイルフェスにて、COVERSの新たな企画を複数発表予定です。ぜひご期待ください!


自分のアイディアを本気で形にできる環境が整っているところ、でしょうか。クリエイターと対等に議論し、一緒にブランドを育てていく。挑戦を否定されない環境だからこそ、成長スピードは速いと思います。

複雑な状況を整理して、企画を成立させる。このバッターボックスに立ち続けられる人には最高の環境です。仕事の裁量や責任は大きいですが、任せっぱなしにはしません。他者の力を借りたいと声を上げてくれたら、僕を含めて必ず誰かが伴走するので。クリエイターと一緒に新しい景色をつくり、フィギュア市場を盛り上げてみませんか。

取材:foriio