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スタッフインタビュー
IPビジネスにおいて、作品の価値を最大化するために欠かせない「ライセンス運用」。グッドスマイルカンパニーのライセンス部は、版元との許諾交渉から海外展開やイベント企画まで横断しながら、IPを国内外へ広げる役割を担っています。
利益性だけでは測れない作品にも「ファンが喜ぶなら」と向き合い、多様なIPのライセンス運用の事例を積み重ねてきた同社。その最前線で活躍する主幹の山田晃大さんとニェ・ユンヒさんに、グッスマ流ライセンス戦略と、ビジネスを動かす「巻き込み力」の実像をお聞きしました。

ライセンス部は、IPを世の中にどうやって届けるか考え続ける部署だと思っています。版元さまから商品化や展開の許諾をいただくライセンスインでは、「作りたい」「売りたい」だけでは成立しません。作品の狙いや条件を理解し、社内外の関係者とすり合わせながら形にしていく。それぞれの要望を整理し、成立する着地点を探す仕事ですね。

私は「架け橋」のような仕事だと感じています。国が違えばビジネスの前提や商習慣が異なりますし、社内でも部署ごとに見ているものが違う。そのズレを減らさないまま進むと話が頓挫してしまうので、最初に認識を揃え、共通言語で話せる環境を整える。関係者全員が喜ぶポイント──つまり「どのように展開すれば作品の魅力が伝わるか」を第一に考えています。

グッスマのライセンス運用は、利益だけで判断しないところが特徴ですよね。他社では採算が取れないといった理由で見送られるIPでも、「好きな人がいるならやろう」と動く。その積み重ねで扱う作品数が増え、結果的にカルチャー全体の裾野が広がっていく感覚を覚えます。


VTuber事務所・ホロライブプロダクションに所属するタレントさんのフィギュア展示会(hololive FIGURE EXHIBITION in AKIBA)を企画・実施しました。コロナ禍でVTuber市場が急速に伸び、公式イベント(hololive SUPER EXPO)の盛り上がりを目の当たりにして、「これは一過性のトレンドではない」と直感したんです。

公式イベントではチケットが取れないほど人気がある。そのためフィギュアを現場で実際に見ていただける機会は限定的でしたよね。

そうそう。「ファンの熱量に対して供給が足りていないのでは」と考えました。そこでフィギュアを中心に“推し”としっかり向き合える場をつくれないか、と思って。特徴的だったのは、グッスマ製品だけでなく、他社メーカーさんのホロライブフィギュアが集まったことでした。


普段はメーカーごとに展示されることが多いフィギュアも、お客様からすれば「推しキャラをまとめて見られる」ことの方がうれしい。ファン心理を突いていますよね。

ライセンスの立場だからこそ、メーカーの垣根を超えて調整できた部分もあります。「ファンがいちばん喜ぶ形は何か」を念頭に置きながら各社にお声がけしたところ、ご協力いただくことができた。結果として、ホロライブというIPを軸に、フィギュア文化そのものを見せる場になったと感じています。
イベント単体で見たら、効率的とは言えないかもしれません。でも、こういう場があることでフィギュアに触れる人が増え、次の購入や発展につながる。ライセンス運用は、IPの未来をつくる仕事なんだと実感しました。

私はライセンスアウトを通じて、自社が窓口を所有しているIPを海外でどう広げられるか実践したいと考えていました。そこで異動してすぐ、中国・上海で行われる「Licensing Expo Shanghai(ライセンシング・エキスポ・上海)」に参加したんです。

その展示会で現地の企業とつながって、インディーズゲームの展開を決めてきたんですよ。行動力がすごい。

墓場文庫さんが開発し、集英社ゲームズさんがパブリッシングした『都市伝説解体センター』ですね。現地のパートナーと話す中で、謎解き要素があるこのIPは、体験型の展開と相性がよさそうと感じたんです。そこでコラボカフェを開催することに。空間全体で作品の魅力に触れていただきたいと思い、ドリンクメニューや装飾、商品やノベルティにいたるまで「作品らしさ」が伝わる形を一緒に考えていきました。


商品やノベルティを制作していただくメーカーさんも、作品の特徴(ピクセルアート)を巧みに引き出してくださる企業を見つけてきましたよね。どうやって話を進めているんですか?

冒頭で述べた通り、海外では商習慣の異なる相手と認識を合わせながら話を進める必要があります。今回は、過去の実績が各作品と相性が良さそうな企業を見つけ、作品それぞれの特性とビジネスの進め方を丁寧に説明し、現地のファン層に刺さりそうな作品を提案しました。その中で相手が『都市伝説解体センター』の魅力に共感し、「自国で広めたい」と感じてくださった。そこから企画が前向きに動き出すんですよね。
大きなタイトルだけを扱う方が、正直効率はいい。でも、まだその魅力が広まっていない良IPを紹介して、現地でファンが生まれる。その瞬間に関われるのが、ライセンスアウトという仕事の醍醐味だと感じています。

人の話をバランスよく聞ける人ですね。ライセンスは交渉より「調整」がメインなので、自分の意見を押し通すより、相手が抱えている事情や背景・文脈を理解することが重要です。そのポイントを適切に捉えながら、人と人をつないで形にするのが好きな人は向いていると思いますよ。

柔軟に考えられる人です。過去と同じ進め方が通用しない場面が多いので、相手に合わせてコミュニケーションを変えられること。対人関係を楽しめる人は、きっとやりがいを感じられると思います。


これまで積み上げてきた経験を活かし、自社IPのライセンスアウトに関われたら。折しも2026年は、グッスマのアニメ事業部が長らく育ててきた作品が収穫の時期を迎えます。小さな展開でも続けることでIPは確実に強くなる。その流れをつくる部署でありたいと考えています。

今後も海外で行われる展示会に積極的に参加し、IPの魅力をどんどん伝えていきたいですね。コアなファンでない人にも、日本の作品が自然に浸透している。そんな「当たり前」をつくることが目標です。


取材:foriio