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スタッフインタビュー
商品企画の意図を汲み取りながら、強度や構造・量産性を検討し、アイディアを実際に「遊べる」商品へ落とし込むグッドスマイルカンパニー製造部開発機構課。企画の最終段階から量産後の品質確認まで携わり、社内外の多くの関係者と連携しながら商品を発売へとつないでいます。
設計者のこだわりを、ユーザーの遊びやすさや量産できる品質とどのように両立させるのか──。製造部開発機構課課長の荒井潤さんと、同課の孫魯京さんに、設計職に与えられる裁量や具体的な創意工夫ポイント、工場や他部署との調整、ユーザーの反応から得られる手応え、そしてこの仕事を楽しめる人物像を語ってもらいました。

企画が考えた商品を、より良い状態でお客様のもとに届けられるようにするのが製造部の役割です。中でも開発機構課は、企画から上がってきた3Dデータを見て、強度や内部構造、工場でのつくりやすさを検討するポジション。企画の最終段階から入らせてもらい、原作の雰囲気や企画意図を残したまま、量産できる形へ整えていきます。

企画と細かい仕様を決めたあとは、工場と相談しながら素材や構造を定め、金型をつくる前に問題を洗い出します。テストショット(試作品)が届けば実際に組み立てて確認し、3Dデータ上で見えなかった問題を解決していきます。量産前後でもサンプルを確認し、問題のない品質になっているか最終的な確認も担います。お客様の手元に渡る直前まで関わるんですよね。


ひとつの商品に対して、工程の一部分だけでなく、最初から最後まで関われることです。取り扱うIPのジャンルも幅広く、フィギュアに完成品合体トイ、プラモデル、ミニカーなど幅広く手がけるので、自分が好きなキャラクターに触れられます。僕はなるべく、その作品が好きな人に担当してもらいたいと考えています。思い入れがあるからこそ、工場で実現できる範囲を見極めながら「ここは譲りたくない」など、ギリギリまでこだわれると思うので。

こだわりを発揮させてもらえる環境だと実感しています。入社前は、企画部から渡された資料や指示通りに形にする仕事だと思っていました。でも実際は、企画部と「こんな風に動かしたいけれど、何かいいアイディアありますか?」と相談しながらつくっていく。上下関係を問わず、いい案なら採用されますし、自分で考えたアイディアを形にできる機会がある。それがグッスマに入社していちばん驚いたポイントです。

まず「外観」ですね。企画部がつくった完成時のフォルムを残したまま、実際に動かせる製品として成立させることを重視します。商品企画の意図を尊重しつつ「このままでは量産が難しいので、こう変えませんか」と提案する。その調整は大変ですが、やりがいを感じる腕の見せどころでもあります。

『魔動王グランゾート』のアクアビートを商品化した「MODEROID King’s Style アクアビート」では、関節の強度や組み立てやすさを確保しながら、巨顔のフェイスモードから人型のバトルモードへの変形を、それぞれの外観形態を崩さず成立させることに苦労しました。たとえば関節は、緩くすれば動かしやすくなりますが、フェイスモードの形状を維持しにくくなります。逆に保持力を強くすると、変形時に大きな力がかかり、破損につながる可能性があります。そこで可動ユニットの大きさや構造・部品の強度だけでなく、ユーザーが実際に組み立て・変形するときにかかる力まで考えながらバランスを取っていきます。


ユーザーに向けた取扱説明書(以下:取説)の内容も、私たちで考えていて。取説には、ユーザーがどの順番で組み立て、どのパーツをどの方向へ動かすのか具体的に記載する必要があります。そこで「この部分には、この方向から力がかかる」と気づけば、それを設計にもフィードバックして、あらかじめ強度を持たせておく。「この形ならこう動くはず」という設計側の感覚と、ユーザーが直感的に行う操作がズレると、破損にもつながります。ユーザーがどうやって組み立てるか想像することで、安心して「遊べる」構造に設計を詰めていくんですよね。


まず企画部と製品の3Dデータで内部構造や配色、後続商品の展開について徹底的に話し、その内容を工場に展開して金型内のパーツ配置などを検討します。その後量産方法やコストを詰める。予算内に収めるために金型の面積を抑えたり、塗装や成形方法を工場と一緒に検討したりすることもあるかな。その後もパッケージを担うデザイン部、取説を作成してもらう外部の協力会社、輸送、営業、カスタマーサポートとも調整していきます。

開発機構課の仕事は、量産に向けて設計を整えたら終了、ではありません。社内外のあらゆる人に協力してもらいながら、ひとつの商品を発売までつないでいくポジション。僕は中国出身なので、中国にある工場のエンジニアと直接コミュニケーションを取り、意図を正確に伝えられたときは、自分だからこそできる役割を果たせていると感じます。

まずは何より「安全に商品を出せるか」どうか、です。たとえば可動部分は、強度を確保しようとするとユーザーが動かしづらくなることがあります。一方で、遊びやすさを優先しすぎれば、十分な強度を保てない。破損しない強度を確保しながら、無理な力をかけずに遊べる状態まで調整する必要がありまして。終盤になってもそうした問題が残っていれば、工場に「もう一度どうにかできませんか」と相談。期限が迫っていても、安全性に不安が残るなら、最後の最後まで各部署と調整を行います。

「MODEROID ブラックサレナ」が印象深いです。大きな装甲をまとった状態でもなめらかに動かせて、象徴的なポーズを再現できるよう、企画と製造の双方で細部までこだわりました。合体させやすい一方で、組み上がったあとは簡単に外れない、そのバランスにかなり苦労したんです。発売後にSNSでユーザーの声を確認したところ、「こんな可動ができるんだ!」と、僕が苦労した部分にユーザーが気づいてくださっていて。その反応がとてもうれしかったです。



設計の仕事は、自分のこだわりが表に出ることは多くありません。だからこそ、お客様から商品のご感想をいただいて、初めて「伝わったのだな」と実感できる。その瞬間に大きな喜びを覚えます。

自分の裁量で決められることにやりがいを感じる人と、ユーザー目線を持てる人でしょうか。一人のユーザーとして商品づくりを楽しみながら、「どうすればもっと良くなるか」を考えて決断できることが大切です。関わった商品が世に出る数は多いですし、好きなIPにも触れられる。ものづくりを楽しめる人と一緒に働きたいですね。

僕は、仕事で成長するには、ゲームの「クエスト」をクリアしていくような感覚が必要だと思っています。グッスマでは、前職で経験したことのない課題に直面することも多いですが、その都度、自分で考え周囲に相談しながら解決していく。そうして経験を積むうちに、次の課題に対しても、自分なりの解決策を考えられるようになります。これまでの経験を活かしながら、自分なりに改善・創意工夫することを楽しめる人には、おもしろい環境ではないでしょうか。

取材:foriio